World > Africa > Zimbabwe

Artist

BHUNDU BOYS

Title

THE SHED SESSIONS


shed sessions
Japanese Title

国内未発売

Date 1982-1986
Label SADZA 1 [2CDs] (UK)
CD Release 2001
Rating ★★★★☆
Availability ◆◆◆


Review

 ジンバブウェを代表するグループ、ブンドゥ・ボーイズの貴重な初期録音の復刻と聞いて、さっそく入手してみたところ、「な〜んだ!むかしDISCAFRIQUEから出ていた"SHAMBI"(AFRI CD02)"TSVIMBODZEMOTO"(AFRI CD03)の再録ではないか!」。ところがどっこい、よく見るとラッキーなことにCD初収録の音源が7曲も含まれていた。
 
 ブンドゥ・ボーイズが最高だったのは、メジャー・デビューする前というのが定説だが、まったく同感。本盤は、ジンバブウェのシェド・スタジオでおこなった82年のデビュー曲から86年の録音までの、かれらがもっとも活きが良かった時期の全29曲をコンパイルしたナイスな企画である。
 
 ンビーラ(親指ピアノ)のフレーズをまねたような軽やかで乾いたギター。小躍りするようなベース。ハイハット中心のハギレがよいドラミング。ぶっきらぼうでワイルドなヴォーカルとハーモニー。前のめり気味のビート感は、リンガラ音楽の影響を受けたケニアのベンガ・ビートに似ている。南アのンバカンガからの影響も色濃い。もちろん、ハチロク(8分の6拍子)の曲もやっている。“ジット”JITとみずから名づけたサウンドは、麻のゴワゴワした肌ざわりと風通しの良さを感じさせる。粗削りながらゴリゴリ突っ走っていくそのさまは、ジンバブウェのロック・バンドと呼ぶにふさわしい。
 
 農耕地帯の白人移住者たちに立ち向かった自由の戦士を意味するかれらは、ジンバブウェが独立した1980年に、ギターのビッギー・テンボとリセ・カゴーナを中心に結成された。かれらのジット・サウンドは、たちまち若い世代の熱狂的な支持を受け、本盤にも収録されている'BABA MUNINI FRANCIS''WENHAMO HAANETI''HATISITOSE' 'NDIMBOZE'は、ナンバー・ワン・ヒットを獲得した。
 
 86年からは英国に長期滞在して、約2年間、コンサート・ツアーをおこなった結果、87年、ついにWEAから"TRUE JIT"(MANGO CCD 9812)でメジャー・デビューを果たす。かれらの日本デビュー盤となるメジャー第2弾 "PAMBERI!" (WEA WMC5-63)に載っていた中村とうよう氏の解説によったが、わたしが持っている"TRUE JIT"はなぜかMANGO盤。米国でのディストゥリビュートがMANGOだったってことなのだろうか。一見順風満帆に見えたかれらだが、まもなく中心メンバーのひとり、ビッギー・テンボがグループを脱退。売上げ不振のためWEAとの契約を解除されたかれらは、ふたたびDISC AFRIQUEに舞い戻って、"ABSOLUTE JIT!"(DISC AFRIQUE AFRICD09(UK) / VACATION VAAI-006(JP))というタイトルのライヴ盤をリリースした。このアルバムは、VACATIONの配給で日本でも発売されたが、満足にはほど遠い出来だった。
 
 さらに91年と93年に2人のメンバーが相次いでAIDSで死去。そして、95年、追い討ちをかけるかようにビッギー・テンボが自殺するという悲劇に見舞われた。一時はグループの存続が危ぶまれたが、リセ・カゴーナを中心にグループの建て直しをはかり、97年には、約5年ぶりにクッキング・ヴァイナルから新作"MUCHIYEDZA (OUT OF THE DARK)" を発表し、健在ぶりを示した。


(2.11.02)



back_ibdex

前の画面に戻る

by Tatsushi Tsukahara